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「あ、あの……修太郎さん」
私が恐る恐る呼びかけると、修太郎さんは笑顔で「はい?」と私の顔を見つめていらして。
その表情に、ソワソワと人目を気にしている私の方がおかしいのかな?と思ってしまいました。それでもやっぱり気になったので、「腕とか組んでいても……その……大丈夫でしょうか?」と小声でおうかがいすると、クスクスと笑われてしまう。
「僕と日織さんが婚約していることは、周知の沙汰ですよ?」
修太郎さんは言いながら、私の左手を持ち上げると、婚約指輪にキスをなさって――。
それに驚いた私は、
「ひゃっ」
ドキドキして、またしても変な声が出てしまいました。
確かにそうなのですけれどっ。だからって急にそれは反則ですっ。
修太郎さんの堂々とした様子に、私は逆に心臓がバクバクです。
修太郎さんと腕を組ませて頂けて、あまつさえ婚約者然と振る舞って頂けるのはとても嬉しいのですけれど、やはり慣れなくて照れてしまいますっ。
余りに恥ずかしくて顔を隠すようにギュッと修太郎さんにしがみ付いた途端、修太郎さんが硬直したようにその場に立ち止まられました――。
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