25.僕は今日どうしても

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「――(しゅう)太郎(たろう)さん?」  きょとんとして彼のお顔を見上げたら、真っ赤になられた修太郎さんが、とても言い難そうに「日織(ひおり)さん……その、……む、胸が……」とつぶやいていらして。 「……むね?」  ぼんやりと修太郎さんのセリフを繰り返した後で、私は彼がおっしゃっている言葉の意味を理解して、 「わわわっ。す、すみませっ――!」  慌てて彼から離れました。  私、照れ隠しに修太郎さんに強くしがみ付く余り、気付かないうちに彼の腕に胸を押し当ててしまっていました……。  あーん。穴があったら入りたいのですっ。  二人で、何とも言えないこそばゆさに赤くなりながら、ぎくしゃくとした足取りで歩く羽目になってしまいました……。  本当に私、粗忽者(そこつもの)で申し訳ないのです……。 ***  市役所の正面玄関はもう閉まっていたので、私たちは裏手の夜間通用口――西側玄関――から庁舎の中へ入りました。  入るとすぐに守衛室があって、そこで立ち止まられた修太郎さんが、胸ポケットから一葉の書類を取り出されました。そうして私を守衛室横に置かれた机にいざなわれると、机上のペン立てからボールペンをとって、それとともに先の文書を手渡していらして。 「え? これ……」  用紙を広げて見て、私は驚いてしまいました。
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