25.僕は今日どうしても

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***  車に乗り込んですぐ、私は運転席の修太郎(しゅうたろう)さんに恐る恐る尋ねました。 「あ、あの……修太郎さん……。私たち、その……入籍したってこと……ですよね?」  つい今し方、市役所の守衛室で婚姻届の時間外受付をしていただきました。  受け付けてくださった守衛さんのお話によると、受理した日が入籍日になるらしいので……私と修太郎さんは……本日付で戸籍(こせき)上は夫婦になったということなんだと思います。  でも……例えば戸籍謄本(こせきとうほん)を取って確認したわけでも何でもないので、今一実感がわかなくて。 「はい。晴れて夫婦です」  修太郎さんは始終にこやかで……運転席側にある私の右手に、指を絡めてギュッと握っていらしてルンルンのご様子です。  実は婚姻届には、結婚後、夫と妻どちらの姓を名乗るのかチェックを入れる欄がありました。  私は(とつ)ぐ身ですので、当然そこは「夫の姓」にチェックを付けさせて頂いたわけで。 「私、……その……、つ……、つ……」  塚田(つかだ)日織(ひおり)になったのですか?とおうかがいしたいのに、何だか照れてしまってその一言が言い出せません――。  もじもじしながら修太郎さんのお顔を見上げたら、「貴女は今日から塚田日織です」とにっこりされました。  ひゃーっ。つ……塚田日織っ。何だか照れてしまいますっ。  私は一人真っ赤になって、新しい名前を噛み締めました。 「――それでね、日織さん。実は結婚を機にひとつご提案なんですが……」
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