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修太郎さんのお声が耳朶を打った瞬間、ゾクゾクとした快感が背中を突き抜けたように感じて。
「んっ、……」
気がついたら小さく声が漏れていました。
甘くとろけた自分の声に驚いた私は、思わず口元を両手で押さえて。
「――安心しました。日織さんの身体はそのつもりでいらっしゃるようです」
私の反応に満足なさったように微笑まれると、修太郎さんがツ……と身を引かれました。
彼の口調が穏やかになったのと同時に、いつものように「日織さん」と呼んでいただけたことに酷くホッとして。
目端を赤く染めたまま、力なく修太郎さんを見上げました。
「シャワー、浴びてきますね」
修太郎さんがそう仰って、私の額に軽くキスを落としていらした途端、張り詰めていた全身の力が抜けました。
(こ、怖かったです……)
久々に心の底から修太郎さんのことを男性として怖い、と思ってしまいました。
一人取り残されたリビングの片隅で、小さく唸りを上げるエアコンの音をぼんやりと聞きながら、私は床に両手をつくようにしてへたり込んだまま動けません。
こんなんで、キスのその先に進めるでしょうか。
修太郎さんが仰ったように、私は心のどこかでそのことを薄ら期待していたのに……恥ずかしくて、まるでそんなこと想定していないかのような天邪鬼な態度を取ってしまいました。
(もっ、もちろん! お風呂はそういうつもりで入ったわけではなかったのですけれどもっ)
修太郎さんを怒らせてしまったのは当然な気がします。
全ての問題が片付いたら……一緒にキスのその先へ進みましょう、と何度も二人でお約束をしたのに裏切るようなことを言ってしまったのですから。
私はおバカさんなのですっ。
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