26.一線を越える覚悟

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 荷物をガサガサして、新しい下着とスキンケアグッズを取り出すと、それを小さな袋に移し替えました。  剥き出しの下着を持ち歩くのは、どう考えても恥ずかしくて無理なので、そういう支度(したく)もしてきました。  そのぶん荷物が嵩増(かさま)してしまいましたが、私にしては優秀ですっ。  下着を用意した後で、少し迷って、底の方から薄桃色にイチゴドット柄のルームウェアも取り出しました。  フレアスリーブの半袖のTシャツに、共布の短パンがセットになっているものです。  コットン素材で、肌触りが心地良くて気に入っています。  お泊まりに際してインターネットでリサーチしてみたら、もっとセクシーなパジャマもありました。  でも私のお子様体型にはセクシーなものは似合わないのでやめておいたのです。  家では割とネグリジェも愛用していますが、あれは下手をすると眠っているうちに(すそ)がまくれ上がって恥ずかしいことになり兼ねないので、今回は選択肢から外しました。  ネグリジェ、座ってお話ししたりする分には、女性らしくて可愛いと思いますし、本当問題ないんですけれどっ。  ……やはり私の寝相が悪いのがよくないんだと思います。  シャンプーやボディソープは入れられなくて持参を諦めましたが、とすると私、お風呂上がりには修太郎(しゅうたろう)さんと同じ香りになるんですねっ。  きゃー、何だか照れるのですっ!  あれこれ考えながらせっせと身支度を整えていたら、向こうのほうで扉が開く音がしました。  次いで、フローリングを近づいてくる足音……。 (き、緊張しますっ)  私は準備したものを一式胸に抱えると、一度深呼吸をして立ち上がりました。  と同時にリビングの扉が開いて――。
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