26.一線を越える覚悟

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「――日織(ひおり)さん?」  途端、修太郎(しゅうたろう)さんに怪訝(けげん)そうな声音で呼びかけられて、ハッとしました。  きゃー、またやっちゃいましたっ! 「ごっ、ごめんなさいっ。ちょっと妄想が暴走を……」  何だか(いん)を踏んだ言い訳になってしまいました。  私の言葉に修太郎さんが一瞬きょとんとなさってから、次いで、声を出して笑っていらして……。 「あ、あの……?」  オロオロと呼びかけたら、 「貴女といると退屈せずにすみそうです。早く一緒に住める日が来るといいのですが……。――じゃあ、僕はリビングでテレビを観ていますので、ゆっくり汗を流して来てくださいね」  い、いま……さらりと気になることを言われた気がします。  入籍を済ませたのに……一緒に住めない理由はなんなのでしょう?  修太郎さんの背中をぼんやりと見送りながら、私は一人小さく首を傾げました。
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