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「お風呂に入られた後にメイクなんてしなくてもいいんですよ。日織さんは存在自体が無条件で愛らしいのですから。――そもそも、キミの素顔、僕はとっくの昔に知っていますし……今更なにを恥ずかしがる必要が?」
貴女がいくつの時から追いかけていると思ってるんですか、と笑みを含んだ吐息を漏らされた修太郎さんが、次の瞬間いきなり顔を隠したままの私の両手首をグッと掴んでいらっしゃいました。
「あっ」
嫌です、も恥ずかしいです、も言う間も与えていただけず、修太郎さんに両手をソファに縫い付けられてしまいました。
恥ずかしさに、頬が一瞬で熱を帯びたのが分かって。
それなのに、一連のことがあまりに突然で、顔を背けるのも忘れて修太郎さんのお顔を茫然と見上げてしまうしかなかった私に、
「ほら、ね? こんなに可愛らしいのに隠すことないです。他の人に見せる必要はありませんが、僕にはこれからもありのままの日織さんを、ずっと見せていただきたいですね」
そう言われて、熱を持った頬に優しく口づけられました。
修太郎さんの唇がひんやり感じられる程度には、ほっぺに朱がさしてしまっているみたいです。
この暑さは湯上りだから、だけではないと思います。
「上気した貴女はとても魅力的です」
修太郎さんの言動に戸惑いながらも彼から目を逸らせない私に、視線を絡ませたまま修太郎さんの唇が首筋へ降りてきて――。まるで必然の流れのようにそこへ濡れた舌を這わされました……。
「ぃ……あ、っ」
私は不意に襲ってきた刺激に、全身に鳥肌が立つのを感じました。
「あ……しゅぅ、たろぉ……さんっ、それダメ……ですっ」
触れられたところから力が抜けていくようで、私はどうしたらいいのか分からなくて、力なく彼のお名前を呼びながら涙目で訴えました。
「――ダメ? ここはこんなに反応していらっしゃるのに?」
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