27.あなたに、キスのその先を*

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 いつの間にか両手は(ほど)かれていて……。  修太郎(しゅうたろう)さんに両胸の先端を服越しに(かす)るように触れられた私は、慌てて胸を覆い隠しました。  触れなくても分かっていましたが、両腕の下に隠伏(いんぷく)した胸は固く尖って痛いくらいで……。生地に(こす)られるだけで声が漏れそうになって、私は懸命に唇を噛みしめました。 (し、下着がない、からっ……?)  いつも家ではお風呂上がりにブラジャーはしないので……今日もうっかりつけずに出てしまっていました。  メイクのことで気持ちが動転してしまって、こちらを失念していたのは愚か者としか言いようがありません……。  寧ろそっちの方を気にするべきでしたのに……。  どうしましょう。ほんの少しの刺激で、私、どうにかなってしまいそうなのですっ。  どうしていいか分からなくてギュッと身体を固くした私の耳元に、修太郎さんが抑えた声音でそっと囁いていらっしゃいます。 「日織(ひおり)さん、そんなに身体を強張らせて……。やはり怖い……ですか?」  微かに吐息を()らすように切なくそう言われた私は、一生懸命コクコクとうなずきました。  もちろん、修太郎さんと一線を越えてしまう覚悟がないわけではありません。  私だって小さな子供ではありませんし……何より……その、私たちは……夫婦です。  だから……ちゃんと色々頑張らせていただくつもりではいるのですっ。  でも……この部屋はとても明るいので……さすがに恥ずかしくて。 「……あの、修太郎さん……」 「――寝室へ行きましょう」  私がお願いするよりも早く、修太郎さんがそう言って下さって、そんな彼に、私は小さく(うなず)きました――。
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