27.あなたに、キスのその先を*

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 修太郎(しゅうたろう)さんに(うなが)されるままに立ち上がろうとした私は、足に力が入らなくてよろめいて。  寝室(となり)へ行くだけですが、それはつまり……その……をするための移動なんだと自覚した途端、恥ずかしさも手伝って身体がふるふると震え出してしまいました。 (これではまるで、生まれたての小鹿なのです……!)  自分の不甲斐なさに泣きそうになった私を、修太郎さんが無言で抱き上げてくださって。  彼にお姫様抱っこをされるのは初めてではないですが、今この時ほどの照れ臭いそれを、私は経験したことがありません。  修太郎さんの腕の中、私は一生懸命胸を覆い隠したまま、それでも視線は彼から外せませんでした。  Tシャツ越しに伝わってくる修太郎さんの体温が、いつもより高く感じられてしまうのは、気のせいでしょうか?  何だか何もかもが恥ずかしくて……穴があったら入りたい気分です。  寝室に入ると同時にほんのりとした明度の照明がつけられました。リビングのそれほど明るくはありませんが、真っ暗でもなくて――。  布団をまくり上げたベッドにそっと下ろされた私は、部屋の明るさと、シーツのひんやりした感触に、ギュッと縮こまってしまいました。  夏なので冷たい感触は寧ろ心地いいはずなのに、明るみの中、横たえられたことが心許(こころもと)なくて恥ずかしくて――。
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