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余りの恥ずかしさに、私は両腕で胸と顔を必死で覆い隠しています。
それでも肌に触れるひんやりした空気が、自分が今、とても心許ない姿になっているのだと、イヤと言うほど突きつけてきて。
最早修太郎さんの方を見ることもままならず、両手の下に頑なに隠れるので精一杯です。
そんな私の耳に、バサリ、と雄々しい衣擦れの音が聞こえました。
その音に恐る恐る指の間からそちらを見やると、修太郎さんが、着ていらした黒の上下を脱がれた気配だったようです。
私と同じように下着一枚だけになられた修太郎さんと、目が合ってしまいました。
修太郎さんの、引き締まった均整の取れた体躯を間近で見るのは、初めてな気がします。
着痩せするタイプでいらっしゃるのか、修太郎さんが、こんなに筋肉質だとは思いませんでした。
確かにその腕に抱かれた時、胸板の厚さや両腕のゴツゴツとした硬さは感じていましたが、その、うっとりするような男らしくて逞しい身体に、私は計らずも釘付けになってしまいました。
「貴女だけに恥ずかしい思いをさせるわけにはいきませんからね」
裸の修太郎さんに、優しく頭を撫でられて、心臓がバクバクです……。
「日織、お願い。手をのけて?」
修太郎さんが私の髪の毛を手指で優しく梳きながら、そっと身体を覆い被せていらっしゃいました。
そのままふぅっと耳に息を吹きかけられて、思わず「ひゃ、んっ」と変な声を出した私は、それと同時に身体をビクッと震わせました。
身体が跳ねた拍子に緩んだ両手を、修太郎さんに捉えられたと思ったら、次の瞬間にはひとまとめにされて、頭上でマットに縫い止められていました。
「やっ、……お願っ、見な、いで……下さっ――」
修太郎さんに手首を押さえつけられた途端、戒めから解放されたふたつの乳房が、フルリと揺れてまろび出たのが分かって、私は泣きたくなりました。
今もなお、その頂の敏感な部分が、更なる刺激を求めてピンと立ち上がっているのが分かります。
そんなはしたない姿を、修太郎さんには……いえ、修太郎さんだけには、見られたくないのです。
なのに――。
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