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結局あのあとは、各々でもう一度ゆっくりお湯に浸かってから、だからと言って入浴後も先ほどの続きをすることもなく、ただ穏やかに二人一緒のお布団で眠りに就きました。
大好きな人の隣にいられるというのは、何て幸せなんでしょう。
目を開けばすぐ近くに修太郎さんのお顔が見えて……私はその度に桃色の吐息をついては頬を緩めます。
朝、彼よりほんの少し先に目覚めた私は、眠っていらっしゃる修太郎さんの唇に吸い寄せられるように触れています。柔らかい唇の感触に、夢じゃないと自覚してはうっとりです。
キスさせていただきたいな……と思いながらツツッと唇の間を撫でるように指先を動かしたら……その気配に目を覚まされた修太郎さんと、バッチリ目があってしまいましたっ。
「――っ? ……日織さん、おはようございます」
「あっ、おっ、おはよっござ、ぃますっ」
しどろもどろで挨拶を返しながら、慌てて手を引っ込めようとしたら、ニヤッと笑った修太郎さんに手首を掴まれてしまいました。
そのまま修太郎さんの口元に再度引き寄せられた私の手は、パクッと彼に指先を食まれて――。
ひゃー、ときめきが止まらないのですっ。
「あっ、あのっ、あのっ、修太郎……さんっ?」
ドキドキしながら、なおも口づけを受けまくる手指を、それ以上お口に含まれないようキュッと握り込んだら、「目覚めたら口元に日織さんの美味しそうな指先があったので、てっきり食べて?っていうお誘いかと思ったんですが……。違いましたか?」とクスクス笑われてしまって。
「ちっ、違いまっ――」
慌てて身体を起こして言い募ろうとしたら、
「日織さん、ホント可愛いです。耳まで真っ赤になって……」
修太郎さんの手が、私の手首から離れて耳元に伸びてきました。
私に合わせて、ベッドに半身を起こしていらした修太郎さんに、優しく髪の毛を掻き分けられて耳朶をなぞられます。
私は、その感触にゾクッと身体を震わせました。
「ひゃっ。しゅう、たろさん。それ……気持ちいっ、ので……ダメ、ですっ」
「どうして?」
――どうして気持ちいいのはダメなんですか?
修太郎さんに抱き寄せられて、耳元でそう囁かれます。
私は首をすくませて、私の腰を抱きしめていらっしゃる修太郎さんの逞しい腕をペチペチと叩きながら、抗議の声をあげました。
「だって、私っ、お……」
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