29.言われてみれば、そうでした!

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「お?」 「……お腹がっ」  言うと同時にキュルルッと小さくお腹の虫が鳴いて、修太郎(しゅうたろう)さんに笑われてしまいました。 「これは大変ですね。このまま続けていたら、僕の可愛い奥さんが餓死してしまいそうです」  修太郎さんのお声に、頬がブワッと熱くなります。  私はあんまり恥ずかしくて、彼の腕をすり抜けるようにしてベッドから逃げ出しました。  そうして照れ隠しにプーっと頬をふくらませると、 「修太郎さんはベッドの中だと意地悪ですっ。――だから……早くそこから出てくださいっ!」  言いながら寝室のカーテンを開けて、ベッドに朝日を当ててやります。  修太郎さんが、眩しさに驚いて目を(すが)められたのを拝見して、少しだけ溜飲(りゅういん)が下がりました。  と、突然ベッドの宮棚に置かれていた修太郎さんの携帯電話がブーッブーッと振動して。  私は突如鳴り響いたその音に、思わずビクッと肩を震わせます。  寝室の掛け時計を見やると、時刻は午前十時を回っていました。  夜遅くまで起きていたので、少しお寝坊さんをしてしまったようです。  修太郎さんが着信中の画面を一瞥(いちべつ)なさった後、私に仕草でごめん、と謝っていらしてから、「もしもし?」と電話をお受けになられました。  私はそのままそこにいていいものか迷ってから、聞き耳を立てるようになってはいけないと立ち去ろうとして――。  ベッドサイドに腰かけた修太郎さんにグイッと手を引かれて、彼のすぐ横に座らされてしまいました。  そうなさってから、修太郎さんは「今、日織(ひおり)さんも一緒だからスピーカーに切り替えるぞ」と前置きなさってからハンズフリーになさいました。 「あ、あのっ、私も会話をお聞きしてよろしいのですかっ?」  戸惑いながら修太郎さんにそう問いかけたら――。
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