29.言われてみれば、そうでした!

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*** 「こっちよ」  結局、私たちが佳穂(かほ)さんの待つファミリーレストランにたどり着けたのは、十一時近くなってからでした。  修太郎さんと一緒に店内に入ると、佳穂さんが立ち上がって手を振ってくださいます。  手招きされるままにお席に近づいてみると、死角になっていて見えていませんでしたが、健二(けんじ)さんもおられました。  何だか傍目(はため)に見ると、ダブルデートの待ち合わせみたいかも? 「あ、あのっ、遅くなってすみま――……」  身支度(みじたく)や移動時間で、結果的に一時間近くお待たせしたことになってしまいました。  そのことを、席につく前に謝ろうとしたら、修太郎(しゅうたろう)さんが(さえぎ)っていらして……。 「僕と日織(ひおり)さんの貴重な時間に無理矢理割り込んできたんですから、謝る必要なんてありません」  うー。修太郎さん、何だかものすごーくご機嫌斜めなのです。  というより、佳穂さんと修太郎さん、一触即発の気配なんですがっ。  オロオロと二人を見比べる私とは違って、健二さんはこういうのには慣れっこでいらっしゃるのでしょうか。 「とりあえずみんな一旦席について……兄さんたちは何か頼みなよ?」  おっしゃりながら、ぽんぽんっと自分の横の席を叩いて「佳穂」と小さく呼びかけると、佳穂さんを御自分の隣に(いざな)われます。  佳穂さんが席につかれたのにならって、私も修太郎さんと並んで腰掛けました。  私の前に佳穂さん、修太郎さんの前に健二さん、という席順です。
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