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「こっちよ」
結局、私たちが佳穂さんの待つファミリーレストランにたどり着けたのは、十一時近くなってからでした。
修太郎さんと一緒に店内に入ると、佳穂さんが立ち上がって手を振ってくださいます。
手招きされるままにお席に近づいてみると、死角になっていて見えていませんでしたが、健二さんもおられました。
何だか傍目に見ると、ダブルデートの待ち合わせみたいかも?
「あ、あのっ、遅くなってすみま――……」
身支度や移動時間で、結果的に一時間近くお待たせしたことになってしまいました。
そのことを、席につく前に謝ろうとしたら、修太郎さんが遮っていらして……。
「僕と日織さんの貴重な時間に無理矢理割り込んできたんですから、謝る必要なんてありません」
うー。修太郎さん、何だかものすごーくご機嫌斜めなのです。
というより、佳穂さんと修太郎さん、一触即発の気配なんですがっ。
オロオロと二人を見比べる私とは違って、健二さんはこういうのには慣れっこでいらっしゃるのでしょうか。
「とりあえずみんな一旦席について……兄さんたちは何か頼みなよ?」
おっしゃりながら、ぽんぽんっと自分の横の席を叩いて「佳穂」と小さく呼びかけると、佳穂さんを御自分の隣に誘われます。
佳穂さんが席につかれたのにならって、私も修太郎さんと並んで腰掛けました。
私の前に佳穂さん、修太郎さんの前に健二さん、という席順です。
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