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「ファミレスを指定してきたくらいだし、兄さんたち、家でなんか食って来たわけじゃないんだよね?」
健二さんが修太郎さんにそう問いかけながらメニューを手渡していらっしゃいます。
修太郎さんは私のほうにそれを差し出していらっしゃると、「お好きなのを」とおっしゃいました。
珍しくメニュー、ひとつしかないみたいなのですっ。
「あ、あの、宜しければ一緒に……」
見ませんか?と問いかけようとしましたが、なんだかピリピリした空気に気圧されて、言えませんでした。
私はパラパラとページをめくって、とりあえず目についたミートドリアを頼むことにしました。
私が決まると、修太郎さんはメニューには目もくれず、「じゃあ、僕も日織さんと同じもので」とおっしゃって。
それを受けた健二さんが呼び出しベルを押してくださって、オーダーを通されます。
「あ。どっちにもドリンクバー、つけてください」
私も修太郎さんもドリンクバーについては言及していないのですが、そういうことになったみたいです。
私の勝手なイメージかもしれませんが、ファミリーレストランでドリンクバーを付けるのって、長居する時な気がします。
お食事が終わっても、ドリンクバーで引っ張れる感じと言いますか。
学生時代、よくお友達とドリンクバーで何時間もおしゃべりしたのをふと思い出しました。
長引くお話……でしょうか? 不安が募ります。
私と修太郎さんが遅い朝食だか、早い昼食だか分からない食事をしている間、佳穂さんも健二さんも終始無言で珈琲を飲んでいらっしゃいました。
それがとても気になって、ドリアの味が全く分かりませんでした。……残念なのですっ。
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