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私は食事をしながら時折佳穂さんをちらちらと見遣りましたが、佳穂さんは目を合わせてくださいません。
助けを求めるように健二さんに視線を転じてみましたが、彼にも目を逸らされてしまいました。
そのことに、ますます緊張してきた私は、無意識に修太郎さんにピッタリとくっ付いてしまって。
修太郎さんが、そんな私の手を握ってくださいます。
そのおかげで、私は何とか逃げ出さずにいられます。
「で? 一体何の話だ、佳穂?」
修太郎さんが佳穂さんをじっと見据えてそうおっしゃった時、私は心臓がドクン!と跳ね上がるのを感じました。
「――何の話か分からないところに問題があるのよ」
対する佳穂さんも、修太郎さんに負けず劣らずピリピリしていらっしゃいます。
私はオロオロとお二人を見比べました。と、佳穂さんとバッチリ目が合ってしまって。
ひゃー、なんだか佳穂さん、怖いのですっ。
「日織ちゃん、電話でも言いかけたけど……貴女、本当にちゃんと納得して修太郎と入籍したの?」
それでも修太郎さんにお話される時よりは幾分穏やかな口調で問いかけてくださって、私はほんの少し肩の力を抜くことができました。
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