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「あっ、あのっ、修太郎さ……」
慌てて現状を取り繕おうとしたら、そのまま唇を塞がれてしまいました。
わわわっ。だ、ダメなのですっ。歯磨きが……まだっ!
私は先程食事を済ませたばかりなことを考えてキスに集中できません。
えっと食べたのなぁに?
な、何を食べましたっけ!?
頭の中、パニックです。
あ! そうのです、思い出しました!
美味しそうだったので見惚れていたら、修太郎さんが無言でカゴに入れてくださった白桃!
そう、食後に食べたあの桃が最後でしたっ!
そういえば、修太郎さんからも甘い桃の香りがします。
これは不幸中の幸いですか?
でも……また桃?
私、このままじゃ、桃の香りを嗅ぐたびにエッチなことを思い出してしまいそうです。
そ、それはちょっと困ってしまうのですっ。
「ん、はぁ、っ、しゅうたろ、さっ、……待っ」
キスの合間を一生懸命見つけては修太郎さんに待ったをかけますが、彼を押し戻そうと胸についた手も、邪魔だと言うように絡めとられてしまい――。
変に喋ろうとしたせいで、呼吸がうまく出来なくて段々目端が潤んできます。
修太郎さんは私の手から、握ったままだった携帯をそっと抜き取ると、ご自身が外された眼鏡と一緒にソファ前のローテーブルの上に置かれました。
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