31.あなたに、キスのその先を〜第二夜〜*

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日織(ひおり)さんの唇はいつも桃の香りです」  私がそうなっては困ると思ったことを、さらりとおっしゃると、修太郎(しゅうたろう)さんが微笑んでいらっしゃいます。 「日織さんが真面目な方だと言うのは存じていましたが……お一人であんなお勉強をなさっていらしたのには、正直驚きました」  修太郎さんがこんなことをわざわざおっしゃるのは、きっといつもの意地悪なのですっ。  私は修太郎さんをじっと見詰め返して、 「わ、私だってやるときはやるのですっ!」  と、わけのわからない虚勢を張ってしまいました。 「僕の奥さんは本当に頼もしいですね。今日もファミレスで僕を(かば)ってくださったとき、すごくかっこよかったです」  ぎゅっと私を抱きしめて、修太郎さんが耳朶(じだ)に直接吹き込むようにそうおっしゃいます。 「あ、あれは……。いっ、いらないことまで言ってしまったと……反省して、いますっ……」  健二(けんじ)さんと佳穂(かほ)さんに、私は修太郎さんとエッチに臨みましたが、私の方に色々問題があって、未経験者のまま終わってしまったのです!と公言した感じになってしまったのを、ふと思い出して赤面します。  でもあれは私自身のことは告白してしまいましたが、修太郎さんのことは分からなかったと思うので、その点ではセーフです。
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