31.あなたに、キスのその先を〜第二夜〜*

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「僕も、日織(ひおり)さんが……、大好きです」  修太郎(しゅうたろう)さんが私の言葉に応えて下さったのが嬉しくて、下手なのは分かっていても、私も修太郎さんを求めたくて堪らなくなります。  気がつけば、彼の舌を追うように自分のそれをすり合わせていました。 「んっ、……はぁっ」  私の口の端を、どちらのものとも分からない唾液が伝って、それさえもゾクリとした感覚に変換されて。  修太郎さんが、口づけながら私のパジャマの(すそ)に手を差し入れていらしたとき、全身にゾクリと鳥肌が立つのを感じました。  お風呂上がり、すぐにこうなることはわかっていたので、私は敢えてブラ(下着)を身につけていません。  だから、彼の手が上の方に向かって這い上がればすぐ、じかにツンと布地を押し上げた敏感なところを暴かれてしまいます。  私は、無意識にそれを期待してしまっていました。  はしたなくも、全身を粟立てて、そこに触れて欲しい、と願ってしまいました。  でも、修太郎さんは何故か一番敏感なところを避けるように、そのまわりの柔らかなふくらみばかりを揉んだりたどったりなさるばかりで。  私はもどかしくて堪らないのですっ。  キスを交わしながら、目端に涙がじわりと浮かんできたのは、口中を侵食される心地よさと、一番触って欲しいところを避けられているもどかしさとのせめぎ合いのせいでしょうか。
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