31.あなたに、キスのその先を〜第二夜〜*

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「しゅう、たろぉさん、の……意地、悪っ」  言いながら、私は修太郎(しゅうたろう)さんを睨みましたが、全然目に力が入っていないことは自分でも分かっています。 「日織(ひおり)さんはこういう僕も、お嫌いじゃないでしょう?」  悔しいですが、図星なのです。  悪びれもせず、微笑みながらそんなことをおっしゃる修太郎さんが憎らしくて……なのに堪らなく愛しくて。 「お願い、日織。キミの希望を聞かせて?」  畳み掛けるようにもう一度そう尋ねられて、私はとうとう修太郎さんに(ほだ)されてしまいました。  昨日は私に気持ちの余裕がなくて全然お応え出来ませんでしたが、修太郎さんがエッチの時、少し意地悪になられるのは、日ごろ私のわがままを通してくださる彼が垣間見せて下さる、貴重な一面なのかも知れません。  そう思ったら、私も彼の望みを叶えて差し上げたい、と思ってしまって。 「――さ、……先の、ところに、……その……ふ、触れて、頂きた……い、のです」  それでも恥ずかしさが勝ってしまって、どうしてもスパッとは言えませんでした。  どうにかこうにか途切れ途切れに希望を口にすると、途端修太郎さんが目を(すが)めて私を見つめていらっしゃいました。 「――承知致しました」  獲物を狙うときのような、とても男臭い表情と、その丁寧な口調とのギャップに、私はゾクッとします。  次の瞬間、焦らしに焦らされたそこへ、修太郎さんの指が触れてきて――。 「ひ、あっ、ん――!」  私は思わず身体をのけ反らせてしまうほど感じてしまいました。  身体がビクッと跳ねたとき、秘部がジュン、と(うず)いて下着を濡らしたのが分かりました。  途端、私は痛くてもいいから修太郎さんとどうしてもひとつになりたい、と痛切に願ってしまいました。  昨日無理だった分、絶対に今日こそは、と。
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