31.あなたに、キスのその先を〜第二夜〜*

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 うっとりとつぶやかれた修太郎(しゅうたろう)さんが、吐息まじりに 「――気持ち、よかったですか?」  と聞いていらして。  改めてそう問いかけられてしまうと、恥ずかしくて素直になれません。 「は、恥ずかしいのでっ、そ、それに関してはノーコメントなのですっ」  修太郎さんから瞳を逸らすようにしてそう申し上げたら、クスッと笑われました。  修太郎さんに触れていただいた胸は、今もじんじんと甘く張り詰めていて、他の場所も触って欲しい、と私を焚きつけてきます。  私は不意に恥ずかしくなって、ツン、と天を仰いだままの胸を覆い隠すように修太郎さんにギュッとしがみつきました。  修太郎(しゅうたろう)さんの唾液でしっとりと濡れた先端は、気化熱で少し冷たくなっていて、押しつぶされただけで、電気が走るような快感を訴えてきました。 「……んっ」  自分でそこを押しつけておいて声を漏らすとか……恥ずかしすぎますっ。  修太郎さんが、そんな私の髪の毛に鼻を擦り付けるようにして耳を探り当てていらして、「ねぇ、日織(ひおり)、下に……触れても……構いませんか?」とおっしゃいました。  さっきまでとは違って、(かす)れるようなその甘いささやきは、修太郎さんが興奮していらした時に出されるお声だと、私は経験から知っています。  私は修太郎さんを抱きしめる腕を少し緩めると、小さく(うなず)きました。
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