31.あなたに、キスのその先を〜第二夜〜*

19/32
前へ
/481ページ
次へ
 修太郎(しゅうたろう)さんが、ウエストのところから手を差し入れて、内側の敏感なところに直に触れていらっしゃいます。  指先で、小さくと尖った陰核を優しく押しつぶすように擦ってから、そのままその先の潤んだ谷間をなぞっては戻るような動きを繰り返していらして――。  (あわい)を押し開くように深く擦られるうち、微かな水音が徐々に空気を震わせはじめます。 「っ、は、……恥ずかしい、……のです」  その音がすごく響いて聞こえる気がして、私は彼にしがみついて、そう訴えました。 「僕に反応してくださる日織(ひおり)さんは、すごく綺麗で愛しいです」  修太郎さんが、そんな私をなだめるように柔らかな声音で、そうおっしゃいました。  言いながらも、私の反応を探るように指は狭隘(きょうあい)な谷間をさらに少しずつ押し広げながら奥へと入ってきて。  修太郎さんが入り口を探るように指を前後させるたびに、彼の指を濡らす恥ずかしい水音が大きくなって、私は羞恥心に身をすくませます。――と、そこにピリッとした微かな痛みが混ざって。 「いっ……」  思わず眉根を寄せてギュッと彼にしがみつくと、途端、修太郎さんの指が入り口から退きました。  私は、痛くてもそれをやめて頂きたくないと思ってしまいました。……ばかりか、その痛みすらも修太郎さんが与えてくださるものだと思うと切ないくらい嬉しく感じてしまって。 「しゅ、たろぉ、さん、お願い……やめない、で?」  濡れた音が恥ずかしいと訴えたのと同じ口で、入り口を押し開くその行為をやめないで欲しいと懇願するこの矛盾。  背徳感に似た、甘美さを伴った危うさが、私の身体を火照らせます。
/481ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2870人が本棚に入れています
本棚に追加