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「……本当によろしいのですか? ――今なら……まだ間に合い、ますよ?」
なので修太郎さんがつむがれる言葉の意味を理解するまで時間を要してしまいました。
……よろしいって、何がでしょう?
「……?」
顔から手を外して思わず修太郎さんの唇をなぞってから、私は彼が何に戸惑っていらっしゃるのか、やっと理解しました。
「修太郎さん。いいの、です……。逆に……その……わ、私を慣らすのに、な、何時間もかけたら……許さない、のですっ」
言って、「恥ずかしいので……何度も言わせないで、下さい……」と再び顔を覆います。
わーん。修太郎さん、お願いっ。
これ以上恥ずかしいこと、言わせないで?
「日織。そんなに煽られたら僕もさすがに限界なので……。貴方が痛がってもやめてさしあげることが出来なくなって、しまいます」
修太郎さんの言葉に、私は顔を隠したまま小さくうなずきます。
修太郎さんはそんな私を優しく撫でると、「分かりました」とつぶやかれました。それから付け加えるように、
「では……僕はもうあなたを奪うことに躊躇はしません。――覚悟してください」
とおっしゃいました。その低く掠れた男らしい声音に、私はゾクッとします。
修太郎さんが、ベッドサイドから四角い包みを手に取られました。
私を見下ろすようにそれを破り開けると、修太郎さんの〝修太郎さん〟に付けていらして。
私は指の隙間からその様子をそっと見つめて、いよいよなのだ、と思いました。
絶対……痛くても今日こそは……。
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