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ギュッとつぶった目端に涙がじんわりとにじみます。
私がこんなに苦しくて痛いということは……修太郎さんもしんどいのではないでしょうか。
私はギュッと閉じていた目を恐る恐る開けると、涙で霞んだ視界に修太郎さんをとらえます。
「しゅ、たろぉさ、ん……っ」
一生懸命手を伸ばして、私にのしかかった状態で止まっておられる彼の名を呼ぶと、修太郎さんが優しくその手を握ってくださいました。
「日織……さっ、すみませんっ。痛い……です、よね?」
修太郎さん、何でそんな泣きそうな顔で尋ねていらっしゃる、の?
もしかして修太郎さんも、泣くほど……痛いのでしょうか?
そう思うと、申し訳ない気持ちで一杯になります。
私は修太郎さんを泣かせたいわけではないのにっ。
痛いのは確かですが、修太郎さんが動かずにじっとしていてくださるので、彼が隘路を塞いでいる痛みや違和感に少しずつ身体が馴染んできているように感じます。
「わた、しは……大、丈夫なのです……。修太郎さ、んこそ、お辛い、のでは……ない、で、す……か?」
私が彼を締めつけすぎているせいで、痛い思いをさせてしまっているのではないかと……不安でたまりません。
私が言葉を発するたび、修太郎さんが眉根を寄せて吐息を漏らされて。
私、やはり修太郎さんにしんどい思いをさせてしまっているのでしょうか。
「――っ、ごめ、なさっ」
力を抜いて差し上げられたらいいのですが、どうしたらいいのか分からないのですっ。
本当に、……ごめんなさいっ。
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