31.あなたに、キスのその先を〜第二夜〜*

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「動きます……ねっ?」  私の驚きを知ってか知らずか、修太郎(しゅうたろう)さんが私にそう宣言なさって、ゆっくりと抽挿(ちゅうそう)を開始されました。  私の中を一杯に満たしていた修太郎さんのものが身体から引き抜かれる際、それを受け入れているのは苦しいと感じていた癖に行かないで、と思ってしまって。  その思いに呼応するかのように下腹部がキュン、と(うず)いて彼を締め付けます。  そういう諸々が、実は修太郎さん(の修太郎さん?)には全てお見通しなのかもしれないと思うと、恥ずかしくて堪りません。  でも、同時にそんな風に思っていることを知っていただきたいとも思ってしまうのです。 「んっ、はぁっ……、あっ」  修太郎さんの動きが早くなるに従って、下腹部が熱くなってきて、頭がぼんやりしてきます。  修太郎さんが身体全体にほんのり汗を浮かべながら、私の中をかき回される姿はとても男らしくてかっこよくて……。  その上すごく官能的なのですっ!  それを下からうっとりと見上げながら……私は修太郎さんとひとつになれたことを心の底から幸せだと思いました。 「日織、愛して、……います」  情事の際の睦言(むつごと)は当てにならないとおっしゃる方もおられますが、修太郎さんと私の間のそれは、その限りではないと思うのです。 「修太、郎さんっ。……私も、修太郎さんがっ、大好き、なのです……っ」  二人で愛を確認し合ったと同時に、修太郎さんが私をギュッと抱きしめていらして――。  私の中で彼が大きく脈打たれたのが分かりました。  私は……、いえ、私たちは――とても幸せですっ。
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