Epilogue

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日織(ひおり)さん、おはようございます。お風呂の準備が出来ましたよ」  優しいお声にゆっくりとまぶたを上げると、私を見下ろすように修太郎(しゅうたろう)さんが立っていらっしゃいました。  何度見てもやはり修太郎さんはすごくハンサムで、私は彼が好きすぎてどうしようもなくドキドキしてしまいます。  確か記憶の中では夜だったはずなのですが、視線を転じると、外は白々と明るくなっているようです。  カーテンから差し込む日射しが一筋、私と修太郎さんの間を隔てるように差し込んでいて、それに照らされて、小さな埃が舞っているのが見えました。  修太郎さんはその光を突っ切るように私の方へ距離を削っていらっしゃると、ベッドサイドに腰掛けて、私の寝乱れた髪の毛を、優しく手櫛(てぐし)()いて整えてくださいます。 「おはよ、ございます……」  そこに至ってようやく頭がはっきりしてきた私は、やっとのことで言葉をつむぎます。  挨拶してみてわかりました。  私、声が少し枯れてしまっているようです……。  恐らく、昨夜……その……っ、た、たくさん、声を出しっ……。  そう思い至って、恥ずかしくなった私は、頬を染めて喉を押さえながら考えます。  今、何時なんでしょう?  掛け時計を確認したくて慌てて身体を起こしたら――。 「んっ……」  下腹部に何とも言えない、ずっしりと重い違和感が走って、私は思わず起こしかけた身体の動きを止めました。  中途半端に起き上がった身体から肌布団が滑り落ちて……。 「ひゃっ」  私は未だ一糸纏(いっしまと)わぬ姿な自分に気がついて、慌てて布団を掻き(いだ)きます。  恐る恐る見下ろすと、身体のそこかしこに修太郎さんが遺していらした薄桃色の鬱血の痕が散らばっていて……そのことに昨夜のアレやコレやを一気に思い出した私は、途端頬がぶわりと熱くなるのを感じました。
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