Epilogue

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「――初めてでいらっしゃるのに無理をさせてしまいました。……その、お声以外にどこかしんどいところはないですか?」  修太郎(しゅうたろう)さんがそんな私を気遣うように問いかけていらして。  ゆっくりと視線を修太郎さんに転じると、眼鏡こそきちんとかけておられますが、身体の方はTシャツにパンツのみという、何だかとっても場当たり的でエッチなお姿で。  そのギャップが逆に恥ずかしいのですっ。  昨夜あんなことやこんなことを済ませたくせに、それでもやっぱり冷静になってみると、何もかもが恥ずかしくて。  私は布団に顔を半分埋めた状態で修太郎さんを見つめます。 「下腹部に……その、す、少し……違和感、がありますが、大、丈夫です」  あまり深く考えると彼を受け入れた感触まで生々しく思い出してしまいそうで……私はふるふると頭を振って雑念を追い払いました。  修太郎さんの肩越しに掛け時計を見やると、七時過ぎのようです。 「私、いつの間、に眠って……?」  二人で身体を寄せ合って、初めての余韻に浸ったのはなんとなく思い出せます。  でも……その後がなんだか曖昧で。  修太郎さんとの行為、い、一度だけでは済まなかったような……っ? 「性行為三十分はランニングマシンで十五分程度の運動をしたのと変わらないぐらいのカロリー消費になるそうです。昨日は軽く見積もっても五時間以上は無理をさせてしまいましたので……日織(ひおり)さんが疲れて眠ってしまっても仕方ないと思います」  こっ、こういうところ……!  とても修太郎さんらしくて……っ!  最初はすごく恥ずかしくて彼の口を塞ぎたくなった私ですが、物凄く真面目に語られる姿が段々おかしくなってきて、気がついたら笑い出してしまってました。
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