シプレ系

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日織(ひおり)さんのお尻の感触を味わいたかったのに、残念です」  だっ、だから無理なんですっ。  エッチなことをおっしゃる修太郎(しゅうたろう)さんのほうを見上げて、彼を睨みつけようとしたら、(あご)を捕らえられてそのまま唇を(ふさ)がれた。 「んっ」  未だキスの初動で戸惑ってしまう私に、修太郎さんは優しく角度を変えては浅い口付けを繰り返す。  私が慣れてきたのを見計らったように、彼の舌が口の中に入ってきた。  修太郎さんに翻弄(ほんろう)されながら、その感触を追うように彼の求めに応じているうちに、自然と呼吸が出来るようになる。  私はまだまだキスが下手だけれど、それでも苦しくて息を詰まらせることはなくなった。 「お上手です」  私の唇を濡れ光らせる唾液を指先でそっと(ぬぐ)われてから、修太郎さんが満足げに微笑まれた。 *** 「私、修太郎さんの香り、大好きです」  照れ隠しのように、彼の笑顔を見つめながらうっとりとそう言うと、「香水の話ですか?」と問いかけられた。 「僕が使っているのはあれです」  修太郎さんが指差された先を見ると、黒い小瓶が見えた。 「ブルー ドゥ シャネル?」  目を凝らして瓶に書かれた文字を追えば、 「よく読めました」  くしゃくしゃと頭を撫でられた。 「もうっ。子ども扱いは……イヤですっ」  ぷぅっと頬を膨らませて抗議したら、 「すみません。では、日織さんのお望み通り、大人の扱いをいたしましょう」  ニヤリと意地の悪い笑みを浮かべた修太郎さんに、ソファへ押し倒された。  私を、修太郎さんが(まと)うシプレ系の香水が包み込んだ。
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