2869人が本棚に入れています
本棚に追加
「日織さんのお尻の感触を味わいたかったのに、残念です」
だっ、だから無理なんですっ。
エッチなことをおっしゃる修太郎さんのほうを見上げて、彼を睨みつけようとしたら、顎を捕らえられてそのまま唇を塞がれた。
「んっ」
未だキスの初動で戸惑ってしまう私に、修太郎さんは優しく角度を変えては浅い口付けを繰り返す。
私が慣れてきたのを見計らったように、彼の舌が口の中に入ってきた。
修太郎さんに翻弄されながら、その感触を追うように彼の求めに応じているうちに、自然と呼吸が出来るようになる。
私はまだまだキスが下手だけれど、それでも苦しくて息を詰まらせることはなくなった。
「お上手です」
私の唇を濡れ光らせる唾液を指先でそっと拭われてから、修太郎さんが満足げに微笑まれた。
***
「私、修太郎さんの香り、大好きです」
照れ隠しのように、彼の笑顔を見つめながらうっとりとそう言うと、「香水の話ですか?」と問いかけられた。
「僕が使っているのはあれです」
修太郎さんが指差された先を見ると、黒い小瓶が見えた。
「ブルー ドゥ シャネル?」
目を凝らして瓶に書かれた文字を追えば、
「よく読めました」
くしゃくしゃと頭を撫でられた。
「もうっ。子ども扱いは……イヤですっ」
ぷぅっと頬を膨らませて抗議したら、
「すみません。では、日織さんのお望み通り、大人の扱いをいたしましょう」
ニヤリと意地の悪い笑みを浮かべた修太郎さんに、ソファへ押し倒された。
私を、修太郎さんが纏うシプレ系の香水が包み込んだ。
最初のコメントを投稿しよう!