磨りガラス越しの会話

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磨りガラス越しの会話

 挙式をすませるまでは私、修太郎(しゅうたろう)さんと一緒に暮らすことはできないのだと言われてしまいました。  お父様がそれだけは絶対にダメだとおっしゃって、決して許してくださらないのです。  入籍はお許しくださったのに、変なお父様。  修太郎さんは私との入籍の条件だったこともあって、得心がいったご様子でお父様に逆らったりなさいませんが、私はひとり納得がいかないのです。  夫婦なのに別々に暮らしているのって変じゃないですか?  お式さえすませれば、こんなチグハグな夫婦生活にも終止符(ピリオド)が打てるらしいのですが、私の誕生日にほど近い6月の挙式予定日まではまだ間があって。  修太郎さんと2人、準備は着々と進めてはいますが、待ち遠しくてたまらないのです。  いっそのこと赤ちゃんでもできてしまえばお父様だって同居を認めざるを得ないのでは?と思うのですが、修太郎さんはそれだけはダメだとおっしゃって。  さっぱり意味がわからないのですっ!  でもお父様も鬼じゃありません。  修太郎さんがお願いすれば、ちゃんと私、彼のお家にお泊まりに来られます。  でも――。
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