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私が感情のままに涙目でまくし立てた言葉――。
修太郎さんにはすごくすごく堪えたみたいです。
「ごめんなさい、日織さん。どうか許してください。僕は……本当に女性の心が分からない駄目な男なんです。まさかあなたがそんな風に悩んでいらしたなんて……」
私は潤んだ瞳のまま、そんな修太郎さんを見上げて言いました。
「許して……さしあげてもいいのですっ。――でも、次からは……お風呂後の私のことも、もっともっと可愛がって頂きたいのですっ。そ、それで――」
あわよくば赤ちゃんを……。
そう言おうとしたら「それはそれとして。お義父上との約束ですから……結婚式が済むまでは避妊は絶対条件です。赤ちゃんを、とか無茶なおねだりはやめてくださいね?」と先んじて釘を刺されてしまいました。
「これだけは……どんなにお願いされても僕も譲れませんから」
きっぱりと言われて、私はぷぅっと頬を膨らませます。
「どうしてそんなに強情なのですかっ」
言ったら、
「あなたに最高の状態で結婚式に望んでいただきたいからに決まっているじゃないですか。妊娠してしまったら……ドレス、好きなの着られなくなるかもしれませんよ? つわりが酷かったら美味しいお料理が出てきても、きっと楽しめませんよ?」
もっともなことを言われて、私、グッと言葉に詰まりました。
「あの……もしかして……お父様が同棲に反対なさってるのって――」
「もちろん、日織さんがそうなってしまうことを防ぐためです。僕があなたに対して人並外れて貪欲なこと、お義父さんにはバレバレなんですよ。――それこそ……下手したら日織さんご自身よりご存知かもしれません」
って――。
私……やっぱり世間知らずのおバカさんでしたっ。
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