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お父様が入籍を済ませた私たちを頑なに一緒に住まわせてくださらなかった理由が、まさかおめでたを回避するためだったなんてっ!
私、思いもよらなかったのですっ。
何ならその思いを踏みにじろうとしていたくらいの、親不孝者の不良娘だったとかっ。
「しゅ……たろぉ、さん」
私は恐る恐る修太郎さんを見つめます。
「はい」
その視線をすぐ間近で受け止めてくださる修太郎さんにホッとしながら、私、言いました。
「赤ちゃんは……今は諦めます……。でも……ギュッてしていただくタイミングに関しては……私……諦めたくないのです」
そこまで言って、私の胸元のボタンに掛かったままの修太郎さんの手にそっと手を重ねます。
そうしてはっきりと言いました。
「だからそれに関しては……今度から2人でちゃんとお互いのしたい気持ちをすり合わせて……タイミングを合わせていきましょう。よろしいですよね?」
途端修太郎さんが大きく瞳を見開かれたのが分かりました。
そうしてややしてから、
「し、したい気持ちって……」
そうつぶやいてお顔を軽く覆っていらしてから、
「僕は時々日織さんの“恥ずかしいの基準”が分からなくなります」
と小さく吐き出していらして。
「今の発言より、一緒にお風呂に入りましょう、の方が恥ずかしくない、とか思ったりなさいませんか?」
って問いかけていらっしゃるのです。
修太郎さんのそのお言葉に、私は「ん?」って小首をかしげたのですけれど……。
どう考えても、恥ずかしいのはお風呂の打診の方……です、よ、ね?
だって明るいところで裸になりましょう?ってお誘いでしょう?
ん? ん? ん?
ズレているのは私?
それとも修太郎さん?
あの……どっちですか――?
END(2020/10/16〜10/17)
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