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梅雨に入った。
今年は昨年のような空梅雨ではないらしく、連日のようにシトシトとひっきりなしに雨が続いている。
部屋干しした洗濯物がなかなか乾かなくて、修太郎は日織が泊まりにくる週末くらいは、とコインランドリーを利用した。
その甲斐あって、今日はリビングがいつになくスッキリして見える。
日織が泊まりに来てくれているから、室内が華やいで見えるのもまたいいな、と修太郎は思っていたりするのだけれど。
「日織さん、どうしたんですか? 浮かない顔をなさって」
どうも自宅へ迎えに行った時から日織の表情が芳しくない。
体調は悪くなさそうなのに一体どうしたのだろうか。
そのことが心配になった修太郎が問いかければ、日織が眉根を寄せて修太郎を見やった。
「雨が降ると、修太郎さんと仲良しするのが躊躇われるのですっ」
それが寂しいのだ、と言いたいらしい。
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