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夜は山積みのヒツジとともに
修太郎の家に泊まりに行く日の前日は、まるで旅行の前の日みたいにワクワクしてしまう日織だ。
「日織、早く寝ないと明日修太郎さんのところで居眠りしちゃいますよ?」
眠れない夜を持て余して、台所に水を飲みに来たところを、母親の織子に見つかってしまった。
「わ、分かっているのですっ。何時間も前からお布団の中でずっとヒツジを数えているのですけれど、全然眠くならないのですっ」
数えた羊はとうに4桁を越し、日織の脳内の牧場は足の踏み場がなくなってしまった。
それでもヒツジの上にヒツジを乗せ、そのまた上にヒツジを、な調子で結構頑張ったのだけれど。
次のヒツジを呼び込もうにも、とうとう呼び込む隙間がなくなってしまった。
それで仕方なく一旦気持ちを切り替えようと脳内のヒツジを外へ解放して、水を飲みにキッチンまで来たのだ。
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