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「しゅうたろぉさんに抱っこして頂きたいのれす……」
しっかりと目が覚めていたら、きっと恥ずかしくて言えないだろうセリフをそのプルンとした唇に乗せて、眼前の修太郎の首筋に日織がギュッとしがみついてくる。
修太郎はそんな日織にフッと柔らかな微笑みを落とすと、「寝ぼけた日織さんは甘えんぼさんですね」と小さくこぼして、眠気でポカポカと体温の高い日織をそっと抱き上げた。
「修太郎しゃんは力持ちなのれす」
途端、修太郎の胸元にスリスリと額をこすり付けてそんなことを言ってくる日織が可愛くて。
このままベッドに彼女を連れて行って、果たしてゆっくりと眠らせてあげることが出来るだろうか。
――きっと無理でしょうね。
そんなことを思いながら、修太郎は日織を抱く腕にそっと力を込めた。
END(2021/08/10)
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