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「本当に可愛らしいな。……いっそ健二のことなんてお構いなしに、欲望のままに奪い去ってしまえたらいいのに」
そんな私に、塚田さんが小さな声で、そう、おっしゃった……気がした。
「――っ!?」
驚いて思わず塚田さんの方を見ると、塚田さんは何事もなかったようにビールを飲んでいらして。
(聞き、間違いです、よ、ね? だって、塚田さん、健二さんのお名前なんて、ご存知のはずがないんですもの……)
好きが高じすぎて、幻聴まで聴こえるようになってしまったのかも。
――だとしたら、重症だ。
私は塚田さんから慌てて視線をそらすと、一息に残っていたウーロン茶を飲み干す。
それまでトイレに行きたくなるのを気にしてちびちびと飲んでいたけれど、そんなことを気にしているゆとりはなかった。
だけど氷の溶けたそれは常温に近くなっていて、動揺で熱く火照った身体を冷ます助けにはなってくれなかった。
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