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「――あ、あの、ここは……?」
今しがた、見るとはなしに視線を落とした腕時計は、二十時過ぎを指していた。
歓迎会は十七時半過ぎからスタートしたので、そんなに時間は経っていなくて……そのことにホッと胸を撫で下ろしたのだけれど。
そうなると、今度はここはどこ?が気になってしまった。
今、塚田さんが飛び込んでいらした扉から、隣室の明かりが漏れ込んできている。
隣の部屋もこの寝室も、とても綺麗に整えられてはいるけれど、そこはかとなく人が暮らす生活臭のようなものが漂う、そんな印象の空間だった。
「勝手に連れてきてしまってすみません。ここは……僕の家です」
「つ、つきゃっ……!?」
私は塚田さんの言葉に、思わず顔を上げると、そんな頓狂な声とともに瞳を大きく見開いた。
余りに驚きすぎて、「塚田さんの!?」という言葉がうまく言えなかった。
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