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抱き上げられた驚きで思わず彼にしがみ付いてしまってから、ふと我に返って自分の余りに大胆な行動が恥ずかしくなった。それで、かえって塚田さんの肩口に顔を埋めたまま視線を上げられなくなってしまって。
「大丈夫ですよ。落としたりしません……」
でも、塚田さんは私の照れ隠しのそれを、落っことされる恐怖からのしがみ付きだと思われたみたいで。
(い、いえ、そういことじゃないのですっ、本当にすみません……)
それに……それに……この体勢は必然的に塚田さんに全体重を預けていることになるわけで……。
「あ、あの、塚田しゃん……。わ、私、重いれすのれっ」
必死に訴えたその言葉を小さく笑って黙殺すると、塚田さんはそのまま寝室の先にあるリビングを抜けて、お手洗いの前まで私を運んでくださった。
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