8.キスのレッスン*

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 腰を下ろした途端、思いのほか身体が包み込まれるように沈んだことに驚いた。 「ひゃっ」  と言う声とともに身体がぐらりと傾いて、あ、寝転んじゃう!と思ったら、塚田(つかだ)さんに抱きとめられた。 「大丈夫ですか?」  塚田さんは片膝(かたひざ)をソファについて、片手で私の頭を抱き、背もたれに腕を掛ける形で体勢を保っておられて。  必然的に目の前に彼の顔が来て、私はあまりの近さに恥ずかしくなって思わず視線をそらす。 「……日織(ひおり)さん」  と、塚田さんが藤原(ふじわら)さん、ではなく日織さん、と私を下の名前を呼んでいらして――。  その切なげな声に、私はびっくりして、思わず塚田さんを見る。  途端、すぐ眼前に迫っていた塚田さんの瞳と、バッチリ視線が絡みあって、余りの近さに縫いとめられたように目線を(かわ)すことができなくなってしまう。
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