8.キスのレッスン*

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「うまく……キスできな、く、れっ……。ら、のに塚田(ちゅかっ)しゃん、離、っちゃうのも、イヤ、で……。我儘(わがっま)れ、ごめンなさ……っ」  泣いてはダメだと思うのに。  私の、言葉になっているのかすら微妙な想いを、何も言わずに真摯(しんし)に受け止めてくださる塚田(つかだ)さんに、私は不安に感じたことを、泣きながら洗いざらいぶちまけた。  こんな風に自分の気持ちを素直に誰かに打ち明けるのは、両親以外には初めてのことかも知れない。  私がこぼす涙が、塚田さんの手の甲で何粒も何粒も(はじ)け飛ぶ。  それを嫌がるそぶりも見せず、塚田さんはただ静かに私の手を握っていてくださった。  そうして私が少し落ち着くのを見計らって立ち上がられると――。
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