8.キスのレッスン*

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 何も言わずに私を抱き上げてくださった。 「塚田(ちゅかだ)しゃっ?」  突然のことに思わず彼のお名前を呼ぶと、「お忘れですか? 修太郎(しゅうたろう)です」とたしなめられた。  彼はそのまま私を寝室に運ぶと、そっとベッドの上に降ろす。 「僕が突然背中を向けたことで、貴女を不安にさせてしまったんだとしたら……申し訳ありませんでした」  そこまで言うと、塚田さんは私に深々と頭をお下げになった。  それに驚いた私が、慌てて「そんな……っ」と手を伸ばすと、愛しそうにその手を取ってご自身の頬にあてがってから、手の甲にそっと口付けをくださる。  塚田さんの温かい手の温もりに、私は心の中から、ざわざわが少しずつ溶かされていくのを感じた。
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