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「僕は……貴女の初めてのキスの相手が自分なのだと知って……そのことが余りに嬉しくて……その、年甲斐もなく、顔がにやけてしまったんです。それを、日織さんに見られるのが恥ずかしくて……思わず後ろを向いてしまいました」
貴女より一回り以上も年上なのに、僕もまだまだです、と付け加えてから、
「それでも日織さんをこんな風に不安にさせると分かっていたら、嬉しくて顔がにやけてしまいました、と素直に言った方がはるかにマシでした……。本当にごめんなさい」
言って、まだ乾き切らない私の頬をそっと撫でると、壊れ物を扱うように優しく抱きしめてくださった。
私は彼の言葉に心の底から安堵して……今まで生きてきて感じたことがないくらい異性――修太郎……さん――のことを狂おしいほどに愛しい、と思った。
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