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それは、ずっと許婚だと言われ続けてきた健二さんにすら抱いたことのない感情で――。
いま目の前にいらっしゃる、彼以外の男性とお付き合いすることは考えられない、とはっきり自覚した。
(私、健二さんや彼のご両親、そしてお父様やお母様と、一度ちゃんと向き合わなくてはいけないのです)
そこまで考えて、ふと中本さんが前に仰っていらした、『彼、親が決めた女性がいるとかで、誰にもなびかないから』という言葉を思い出す。
(そういえば……自分のことに手一杯ですっかり失念していたけれど、修太郎さんにも決められたお相手の方がいらしたんじゃ?)
そう気がついたら、その事が気になってたまらなくなってしまう。でも、意気地なしの私は、それを直接問いただすことが出来なくて……。
「塚……、しゅ、修太郎さん……。わ、私、その……同年代の女の子らちが普通に出来て当らり前のこと、殆ろ何も知りません。それれも……そんな私が……貴方の隣にいれも……構い……ませ、んか?」
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