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だから、今のままの自分では嫁として受け入れられないと先方さまが仰っておられるとうかがったとき、妙に納得したりもして。
「私、健二さんの奥さんになるのが怖いんです、……とても」
私と健二さんとの結婚を望んでくれている両親には、申し訳なくて言えなかった言葉。
それを、私は修太郎さんに吐露してしまっていた。大好きな修太郎さんに、何とかしてこの境遇から助けて欲しいと思ってしまったからかもしれない。
私一人では、この柵を断ち切れる力がない気がしたから。
「大丈夫。僕が絶対に……そんなことにはさせませんから」
ぎゅっと私を抱きしめると、修太郎さんがぽつんとつぶやく。
私が欲しい言葉が、どうして修太郎さんには分かってしまうんだろう。
修太郎さんの腕の中で、私は嬉しくて泣いてしまいそうになる。
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