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んんーと首を傾げる美柚を前に、レンは至近距離で覗き込みにっこり微笑んだ。
どこか周囲の人たちとずれた考え方だったりテンポは面白くて、小さな頭で考えて受け止めて一人で頑張ろうとする姿はカッコよくて。
揶揄いがあるところも、妙に素直なところも、反応が楽しくていつの間にかレンの中にするりと入ってきていた。
どんな反応も結局は可愛らしく見えて、ありのままの美柚をそのまま守ってあげたい。
「そうだよ。だから、役に立つとかではなくて、いかに安全に解決できるかを考えて欲しい」
「…………」
言い聞かせるようにゆっくりと話すレンに、腰を抱かれごまかしは許さないと至近距離で見つめられて、美柚はたまらず瞼を伏せた。
──うわぁぁぁー、きゅうって胸がイタイ。
ばくばくする心音が聞こえてしまいそうで、落ち着かせようとすればするほどどくどく脈打つ。
出会ってから、少しずつ関係が変わり、信頼が生まれ、そしてここ最近はそこに甘さも含んでいるようにも感じて。それはひどく心地よいと同時に落ち着かなくて。
そんな中で態度でも言葉でも大事だよと告げられ微笑まれて、シミひとつない白皙の美貌が迫り、さっきのこともあって妙に気恥ずかくもあって。
己の考えが読まれていること、妙に意識してしまっていること、二重の意味で心臓が落ち着かなくなった。
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