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それを冷静に受け止め、睨むわけではないのに同じくらいの強さで返すタキシードの青年。
その顔色は悪く、それでも挑発するように余裕の笑みを浮かべ双子を睥睨した。
「邪魔、しないでくれる?」
視線同様、声も張り上げていないのに意志の強さが表れ威圧してくる。
美柚はいまだに説明もなく、ただ強引に進める彼が信じられず、二人に守られるように彼を見つめた。
なにがどうなってるのだろうか? どうして、説明をしてくれないのだろうか?
その気持ちを代弁するようにレンが告げる。
「美柚が困っているのをわかってのその言葉でしたら、あなたを軽蔑します。いったい何を考えているんですか?」
レンの辛辣で探るような言葉に、青年は口の端だけ笑う。
「もともと尊敬されていたわけではないと記憶しているけど?」
「それはそうですが、彼女に対して意志を蔑ろにはしない、との点においては信用していました。だから、今回のこれは許せない」
「……あの……」
美柚は口を挟もうとしたが、レンとジンに黙っとけとばかりに睨まれ口をつぐむ。
以前ならここで優しく見守るように助け舟を出してくれていたはずの青年は、一度美柚を見ただけですぐにレンへと視線を戻した。
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