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「君たちが俺の何を知っているって?」
「そういえば知りませんね。どうやら見当違いだったようです」
「ふぅーん。そもそも彼女を強引に捕えたのは君たちだ。そろそろ返してもらってもいいと思うけど?」
「僕たちと共にいることを選択したのは美柚です」
「脅しはなかったと? その辺も含め、少し遅くなったがその話がしたいと思っている。だから、邪魔しないでくれるかな」
「ちょっと、話を……」
彼らの会話に対して思うこと、言いたいことがあり聞いてほしいと言葉を発したが誰も耳を傾けてくれず、すっと細められる視線だけで黙らされる。
自分の話題なのに、目の前に本人がいるのに通り越して語られる。ここにきて、美柚はようやく表情筋をぴくりと動かした。
どうして、誰も自分の話を聞いてくれないのだろうか。
人権っていうのがあること知ってますか?
人にはそれぞれ思いがあるというのは知ってますか?
──さあ、そこをとことん膝を詰めて話し合いましょうか?
そのために、そこに転がって黙ってくれますか?
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