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「山田じゃ」
「すみません、間違えました」
ボスはスマートフォンの終話アイコンを静かに押した。
やはり間違い電話だった。しかし、疑問は残る女子高生の母親にかけたはずだが、何故よその家に繋がったのか。考えられることは一つ。女子高生が間違って登録してしまった可能性が非常に高いということだ。
「あんたたち、何も思わなかったの? お母さんの番号登録が二つあることにさ」
「お母さんって登録してあったから、てっきり」
「だけど、残念ね。今ので確実に警察に通報されたわよ。オレオレ詐欺だって。誘拐犯だって言っても信じてもらえないかもね」
「また失敗か。やれやれ、あんぽんたんを部下に持つと頭が痛くなる。お前は逃げていいぞ、俺たちは逃げる」
警察が来る前にここから一刻も早く、離れなければ。ボスは月明かりの下、動きはじめた。
「ダメよ。ちゃんとあたしを誘拐して、身代金せしめてもらうまでは、あたしは帰らない」
「どうしてだ?」
「身代金持ち逃げするのよ。あたし、今、家出してるから」
女子高生はボスの後に続いた。
了
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