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丞のジャケットを女性の背中にかけた。
「じゃあ、お店の人に呼んでもらうから、動けそうなら畳にでも座ってて」
近くにある畳に座るよう施した。一般男性のようにスマートに出来たのだろうか。女性の接触が少ない丞は、色んな反応をする女性に戸惑う。
「はーい」
女性は大人しく言うことを聞いてくれた。
近くの店員に声を掛けた丞はタクシーを呼べないかを質問していた。
「おっけーだって、良かったね。もうすぐ家に帰られるよ」
女性を励まそうとタクシーを使えることと家に帰れることを伝える。
女性のご指名で丞付きとなり、同僚には適当な詫びを入れながら女性の傍に居た。
「大丈夫だからね」
自分自身が安心したいのか女性を安心させたいのか分からない。
店員が丞の傍まで来てタクシーがお店の前に着いたことを伝える。女性や丞も会計は済ましていたみたいだ。
「有難うございます。またご来店をお待ちしています」
店員の挨拶を聞きながらタクシーの中まで入り込んだ二人。彼女が住所を伝えると、タクシーが動き始めた。
「お酒、飲み過ぎですか?」
たわいの話として酔う女性をチラッと運転手を見つめた。
「そう、みたいなんですよ」
お酒に弱いのか、また別の体調不良かも分からない。丞は、適当に運転手へと答えた。
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