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「着きましたよ」
飲み屋から数十分近くに到着を伝える運転手。体調不良の女性には払わせられない、と全額を支払った。
タクシーから降りると、地面から真上までマンションが建っていた。
もしかしてお嬢様?! ならば両親が露な女性を見れば殺されるかもしれない。
口内から流れる唾を飲み込む。
女性を肩にかけながら「歩けますかー?」と女性の顔を見つめる。端正な顔立ちにメイクでより美しく映えたみたいだ。
女性の割には体が固く少し重く感じるのは、丞の体力が消耗したせいだと思うことにした。
マンションの何階か分からないから、個人情報だけれど仕方なく質問してみる。
「・・・・・・ごっ、五階」
精一杯に発した言葉みたいだ。完全に疲れ切っている。
丞の力では、大丈夫だろうかと心配になりながらもエレベーターに乗り込んだ。
空いている手で『五階』のボタンを押した丞。中々の苦しさが混じる。
女性一人にさせているのは危険だから、ほっとかれずに女性の肩を自分自身の肩に乗せるのだ。
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