1 彼女のシッポ

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1 彼女のシッポ

 縁側で一番陽の当たる暖かい場所が、彼女の指定席だった。  リズムを刻むように動くシッポを捕まえては、彼女が不機嫌そうに振り返るのを確認するのが楽しかった。  何か言いたげに、じっと僕を見る。  もしかしたら、小さな頭の中で、好きな曲を聴いていたのかもしれない。  そんな想像が頭をよぎった。そのぐらい彼女のシッポは、魅力的に動き続けていたのだ。  白猫の名はサクラ。  名前の元になったあの子はもういない。
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