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「わ。びっくり。そんなに元気ならもう大丈夫だねぇ」
少し後ろに引くと、彼女はホカホカのおかゆらしきものをコレトに渡した。食べ物を見た瞬間、コレトのお腹はぐぅぅと大きい音を鳴らす。
「い、いただきます……」
がっつくように食べるコレト。何も味は感じなかったが、今のコレトにとってお腹が満たせれば何でもおいしく感じた。まさに『空腹は最高の調味料』とでもいったところだろうか。
そして彼女の後ろからあの時いた男性がフライパンとフライ返しを両手に彼女のところまでやってきた。どうやらコレトが食べているものを作ってくれた張本人らしい。ただ、でかい図体にエプロンは似合わかったが。
「なぁー。盗人が被害者助けるなんて前代未聞だぜ?」
「えー!だってコイツ絶対ここの人じゃないよぉ。なら外のこと、知ってるかもしれないじゃん!」
飲み干すように最後まで食べると、彼らの方へ顔を向ける。その様子に気付く彼女。
「あぁ、食べ終わったんだね。適当に床にでも置いといてよ。あとそれから……」
と、何やらポケットからゴソゴソと探し始めた。ダンジョンを探索するようにズボンに付いている洞穴を漁る。隣にいる男性もたくさんのポケットがついたズボンを履いているが、どうも流行りとは縁がなさそうだ。
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